大地の恵。
■ レンガの駅の一階にビャ・ホールがあった。
入ってみると、既にして満員でもある。
「それで、食わなかったんですか」
「そうだよ、途中で止めたんだ」
そういう話が隣で聞こえる。
■ 麻のマダラの服を着た若い女の娘がチケットを売っている。
やや、元気でもある。
短いスカートというのは、若ければ太くても良いのだと思える。
■「酔うと駄目だから、朝になるんすよ、俺」
「でも、朝早い時もあるだろう」
金色の時計をした、三十歳になんなんとする勤め人のようだ。
ネクタイは、六千円はするだろう。
朝の女性は、化粧が剥げていないのだろうか。
黒ビールを嘗めながらそのように思った。